蝶のモダリティがある寝室

 それにしても、茂木さんは私の書いたものにいい加減インスパイア
されるのをやめてくれないかなぁと思う(蜘蛛の巣の話とか、まるで
そっくり)。

 けれど、「蝶のモダリティのある主寝室」というのはいいですねぇ。
 「えんどう豆の上に寝たお姫様」という話が、アンデルセン童話にあり、
たった一つぶのえんどう豆の感触を感じ取る話なのだけれど、

 *主寝室に蝶はいない(すがたかたちはまるで見えない)
 *でも蝶のモダリティだけが、全体的にある

 という場所をつくるにはどうしたらいいか、結構本気で考える。
 
 (広さは8畳として、壁は淡い色あいの土壁にする。寝室だけど一
 部分が細い吹きぬけ。カーテンはやっぱり淡い色のレースを何枚も
 重ねて、出来れば科学的な厳密さに基づいて、ある色相から一枚
 重ねただけでがらっと全体の色が変わるようにする。その科学的
 厳密性はちゃんと実験科学に基づいたものにする。
 蝶はモダリティとして在るだけなので、かたちは見えないのだけれ
 ど、羽根の機能に基づいた意匠を部屋の中の有機的な装飾に活かす。
 床材は硬くて色の濃い材で、虫の穴が開いてるものにする。と書く
 とちょっと女性的なんだけれど、あんまり女性的だったり耽美的
 な感じにせず、科学的な変容の一歩手前の、あと一要素足すとがらっ
 と変化する、捕獲の一瞬前、というぎりぎりのラインを部屋の中にた
 くさん置くこと
 によって、蝶のモダリティを表現する。ベッドは天然の木材の上に、あまり
 厚くないマットレスにするけど、木の感覚と連続性が保てるようにフラットシーツ
全部リネン。それも粗くて何度か洗濯したもの。スプリングじゃなくて弾性のある草床
みたいな感じの詰め物のマットレスにする。窓は昔の学校のガラスみたいな板ガラス。
サッシも木。ちょっと要素が加わると、ゆらっと全部が変わる、という感じにしておく。
絶対ファンシーな感じにはならない「蝶の雰囲気のある部屋とか寝室」はベルグソン
ぼくていい感じ。)
 耽美的なものだと、マッキントッシュグラスゴー学派がデザインした場所を写真で見たこと
があり、すごくかわいらしかったのだけれど、より感覚的で、なおかつ自然科学に基づいているものが
あったら、それはそれでいい感じがする。