2008-06-01から1ヶ月間の記事一覧

リンスの小瓶

濃いブルーの、じょうごを逆さにしたかたちの壜に入っている。壜の底は大きく内側にせりあがっており、その部分は透明で、複雑なカットが施されている。中に詰められたリンスは一晩髪を軋ませたが、朝櫛を通したあとの髪を、柔らかで他にない漆黒に見せた。 …

新しい通り道

さっと風が吹いてその時だけ、熱のこもった雨で濡れた道が明るく、冷えて照らしだされる。道を舗装している小さくて四角い石。足を取るようなとっかかりはなくすべらかで重みがあり、舗装がかろうじて、道が周りの空気に溶け去ることを押し留めている。その…

宮崎勤

死刑が執行されたのが、秋葉原の通り魔事件に対する見せしめだという説を読んだけれど、抑止力にならないような気もする。 宮崎勤の書いた死刑取り下げ要求の文書はすさまじくて、読むとこういう人の事をスキゾフレニックと言うのだろうなぁ、と感じる。 (秋…

電車で出かける

電車で出かけることが多い。 最近何となく気がひけて、格好がでたらめになっていたのだけれど、後々 考えるとその「でたらめな格好」というのも単なる自意識過剰でしかない 事が多い。というより、そのこと自体が問題になることなんてあまりない。 昔ZAR…

行きがかり上

ずっと気になって仕方のない質問について。 双風舎さんという出版社さんのブログに載って いた記事(私は、未だにテーミスという雑誌が出版 されているということを知らず、素朴にびっくりしたの だけれど)。http://www.tanteifile.com/newswatch/2008/06/0…

小さいカスタネット

手のひらの中でカチカチ鳴らすことのできる、小さい カスタネット。半透明の貝で作られているのだが、中に は歯に見える薄桃色の突起がいくつも並んでいる。そんな 造作なのにきわめてあどけない音で鳴る。 立体的な構造を持つ家系図。無駄なものという気も…

アイスジェイドの指輪

たっぷりとした斑の浮かぶ白い翡翠の指輪。細い果物の茎のかたちをして指を取り巻く。果物は手のひらのなかごろに雫のかたちをして落ちており、そこにはあの硬い漢字の、黒い生き物のような種子がある。

霊現象は、みんな似ている

予見というものの情けなさについて。 ほんの少しだけ、歩きながらひらめきを感じる。予見するという ことの救済からの遠さについて。だから余計に、予見に対して 現実的でモダンな精彩を持たせて、それが超越性から来ている ものであることを、忘れようとす…