2007-01-01から1年間の記事一覧

自明なベール

大きな石鹸に長い防水シルクの紐が通っている。石鹸は六角形をして粉っぽいすみれ色、穴の周りだけ油脂に溶かした大粒のラメが光っている。 ワンピースのかたちをした木綿の部屋着。3つのはとめボタンは淡いばら色で、大きな半月型のポケットが左右について…

今年一年

心底ありがとうございました、と言いたい人と、もっとお話したかったです、と言いたい人と、来年はもうちょっとどうにかなるようにしますので、と言いたい人と、色々居るなと思う年末。(作品や著作を通じてしか存じない方を含めて、私にゆっくり考える時間を…

年の瀬

知人複数に連絡しながら、以前使っていた鳩居堂の年賀状を復活させようかと思う(あっさりした印刷がかわいらしい。たまにいい意味で間の抜けている絵があるところも大好き)。しばらく年賀状を書いてなかった。 そんな事を思っている矢先に、つくづく暴力って…

円環

座席の上に小さく折り畳んだ紙が置いてある。開くと丁度真ん中に染み込ませてあるインクは濃い紺色で、まわりに広がる部分は薄い水色をしている。眺めていると絡みあった紙の繊維に入り込んでいるインクの流れが、窓の向こうにある湿った雲の流れと呼応して…

縄の内部像

柔らかい布を細くさいてあみあわせ縄状にしてある。縄の内側には銀のかけらが沢山紛れ込み、突然の風が吹くと布だったころの名残を縄全体に行き渡らせながら鳴る。その音を聴くと形のいい結晶の水晶が部屋の何処に忘れてあったかすぐに思い出す。 縄の内部像…

野生のシクラメン

15日に書いたシクラメンだが、書き方は色々あって、「遺跡の傍に咲く」という のはかなり慎重なつもりだったのだと思う(店先で売られてるもの以外は、地中海 の荒涼としたところが起源の花なので。そういうところも含めて好きな感じだった)。 「意識」とか…

Lime pass (パタンふたつ)

カテゴライズしにくい現象が、人間的な感情とか熱意、重みを伴わずにただ在ることの救い。 寒い通りを歩くときに、一画ライムの匂いと雰囲気に染め上げられて居る箇所があって、心臓の近くで甘い露の滴りと、同時に血の翳りを感じる。果物と同じ形の血の翳り…

カールする

時間とともに移り変わる波の中に、細かくカールした水鳥の羽が並べられ、それぞれの長さの分、自然に書き込まれた名と命がある。けれど生きているとは限らない。羽根は時々揺らいでよその世界を見せるのだが、書き込まれた名が呼ばれても軽い波の気配しかし…

ジルベール?シモンドン

以前から疑問に思っていたのだけれども、何でジルベール?シモンドンという人の翻訳がないのだろう。 身内のから「そんなの関係ねぇ」の用法をちゃんと聞く。 テレビで見たとき、こういう一発芸みたいなのがあるといいなぁと軽い憧憬を抱いたのだが、昔脱いだ…

年末の読書のために

「差異と反復」のなかにある、幼生が社会態のなかで生きられることの難しさ と、神学による自我構成のひび割れを、ベンヤミンと結びつけて読むと(自分なり に)分かりやすい気がする。そういった感触を(ベンヤミンに限らないが)小説 や詩として構成する、…

夢と感覚

ちょっと前の日記に夢と現象、感覚質の事を書いたら評判がよく(?)別に聞いてもいないのに夢について書いてる人が沢山いたので、ちょっと作品篇を書いてみる。 「それは見すぎた夢の悲哀、長く見すぎた夢の、細く開いた隙間から流れる息の流れ。風の吹く3月…

堀内誠一さんについて

何冊かの絵本を昔読んだ。それだけで、堀内誠一さんについてあまり良く知らない。けれど時々、たしか雑誌「たくさんのふしぎ」に載っていた、楽器を弾いたり雑談をする人たちのモブシーンを思い出す。あれは本当に、書かれた言葉や描かれた絵の中に確かな雰…

あれは楽しかった

(社会学に対して名前を出して怒ってたところを全部消去する。なんだか「同じ文体で思考するのが一番いけない」みたいな事をつくづく考えていた。その人の書く事は基本的にでたらめのような気がしていて凄く嫌い)。 **** 生々しい愉しさのこと。 あれは心底楽…

表出

ブログをさいしょから読みながら、所々すごい怒ってるけど別にいいか??みたいな気持ちになる。 (表象=再現前ではなく)ある表出の面で、スキゾフレニックなモノというのが一気に詐病化したりデジタル化しそうな感じがあり凄く嫌だった思い出がある(それが、…

嬉しい

ドリス?レッシングがノーベル賞受賞したんだ。何だか嬉しい。 色々なかたちを取れる(色々な抑圧されたものの回帰を、それぞれかき分けられる)フェミニスト。 ♪ 差異と反復。 「人間である必要はすこしもないけれど、何らかエステティックなものへのを含むと…

久しぶりに家族四人でご飯を食べつつ、ptsdが快癒してる事に気付く。

差異と反復

一昨日出先で文庫の「差異と反復」を購入したとき、「生きててよかった」と感じた。居てよかったというか。初めて手に取った時、もうドゥルーズは亡くなった後で(そもそも自死とオウム事件がきっかけで読み始めたんだった)なんか、死んじゃうんだ(しかも自分…

ピユス?セルヴィアンは正当にも二つの言語を区別した。一つは諸科学の言語であって、等号に支配され、どの項も他の項によって代理されうるものである。他は、叙情的な言語であって、どの項も代理されえず、ただ反復されることしか可能でないものである。なる…

大事な本としか

「差異と反復」が文庫版で出るんだ。 ちょっとだけだが(あざとい感触を残すならそんなこと 書かないほうがましだけれども)泣きそうになる。 理由は、ここ数年落ち着いて読めなかったから。 幾レイヤーかに分かれているが、私はこの期に及んで 「ドゥルーズ…

マッハと感覚所与

「マッハは全ての知識を感覚に還元するが、彼の思考のすべても、これに基づいて 形成されている。すべての科学的な試みの課題は、感覚所与を最も単純かつ経済的 な仕方で記述することである。マッハは実際に感覚所与を、より中立的であたりさ わりのない「要…

ん? 少し太ったかも

と、すかさず卑下(ほうらい線?)以下、2ちゃんねるから引用。 ++++++++++++++++++++++++++++++++++ 集ストメンバーには性奉仕奴隷があてがわれるのか。 だから、自腹で集スト活動に自主的に参加する奴が次から次へと湧…

PTSDと薬物中毒

ある人の逮捕のニュースを知ってつくづくと。 「他者の思考の解体」と中毒、サブカルのモードが奥で どう引き合ってるのかは解らない(すぐに可視化はできない)。 けれどたぶん、自家中毒が他人の脳をオブジェクトとして捉えている 領域があって、本当はそ…

意識についての論文を一個だけ書いたことがある。 思い出すのは(今も辛いことなのだけれども)、資料を 集めるのに凄く時間がかかったことだ。幾つか言い方を 考えていた。一つはカジュアルな意識変容で人は救われるか みたいな話。もう一つは詩の垂直性が…

フラミンゴ色のリボン

小さくてストイックな感じのする、冷たい、四角い石鹸があって、 混ぜてあるミントの葉のせいで肌に当てるとすっきりする。がんじが らめにフラミンゴ色のリボンをかけると、洗面器の中へわずかに夕焼 けの感じが流れ出た。 フラミンゴ色のリボンは重宝する…

弱気相場師

陰謀論と被害妄想の愛好者かも。「その潮流の決まり文句は、言ってみれば、何ものにも惑わされるな、 となろうか。おのれ自身の感覚のみを信じるべし。手を突っ込んで石 まで掴め! これは魂の暴力的な禁欲運動であって、そこから新しい 方向における強大な…

久しぶりに

ムージルの「三人の女」を読む。面白い。 マッハの物理学がムージルに影響を与えたと読んだ事がある。 物理学や量子力学による去勢が外傷化し得る部分と、そうでない 部分がある。外傷化し得ない部分が感覚であるように感じるのだけ れども、感覚一般に対し…

外傷化しやすい領域

言語とセクシュアリティと部分対象の関係が、崩れたり混交したり している過程はあまり可視化されない。けれどラカンやそれについて 書かれた本を読んでいると、その混交の過程がひとの外傷化しやすい 領域だということが解る。 混交の過程を視ようとする神…

集積回路

単に「集積回路」というものに対して、昨日の私ほど ロマンチックに考えてた人間は他に居ないんじゃないか、 と思う(何かが累積しているところ、というのは、何でも 悩ましい感じだと思うけれども、そこを通る情動がどう短絡 したり引き伸ばされたりしてこ…

ラカン癒し系/

「メディアと無意識」面白い。 ・・・思えば、「ラカンの精神分析」を読んだ時に、患者の女性の台詞で 「ナッチャンレモンコンニチハ、ナッチャンレモンコンニチハ」というのが あって、ああ、こういう言葉が聴き取られる場所を思い浮かべるのも無駄な こと…

6/27伝達状態の一定性

ただのメモ。 「脳のいかなる過程も連想や思考に対応してはいない。だから脳過程から思考過程を 読み取ることは不可能である、という仮定ほど自然なものはないと私には思われる。私の いう意味はこうである。私が話したり書いたりする場合、話された思想、或…