華麗なるギャツビー

を、見る。大変示唆に富んだお話。ぼんやりと
一次大戦後に軍事需要だの戦時好況で成り上がる
という事の意味が全く飲み込めていなかったこと、
だからシェルショックになったり、ブルトンみたいに
狂人は弾丸に当たらないとか言っている方が遥かに
理解しやすかったのねと納得。そして何と無く関係
ありそうでないのだが、昔噂の真相に、新興宗教信者で
エコロジストで警視総監の息子かなんかの80年代っぽい
エッセイストの妻だか愛人を口説ききれなかった作家がいるとか
いないとかいう話が載っていた事を思い出す。
成金はやっぱりひどい下衆で、なんか申し合わせで女性に意味
付した上で煽ったりしてるのだが、数名分寝ゲロ被ってそうな
雰囲気とか性に合わず気持ち悪く思う(女優さんはとても可愛く、
当たり前だけど紅毛ものというか付っ鼻みたいな不自然な感じが
全くなく素敵だったのだが)。
マフィアと結託してお酒やら薬物の密売をし、他の
成金を詐欺ではめて儲けてるギャツビーはやっぱり
結構ペシミスティックに描かれているので見ていて含蓄があるなぁと思うのだが、それより遥かに気持ちの悪い、仏教系カルトの裏金に手を付けた成金というのは、客観的にどういう人種なのか
言い当てる事も出来ないのかと。
見ながら自分にはこういうけたけたしたものが苦手で、ブランクーシとかウルフみたいな、ちょっとストイックなものが好きなのねと思う。

呆然として自ら志願した大戦から復帰したあとに、成り上がって女性に社交界とか豪邸とかそういうものを用意してお金持った反動で発狂というのもあるんだ、と思う(成金の自業自得という感じをどうしても拭い去れない)。戦場で軍医したあと拾ってきた棒切れを可愛がって名前つけたりアフリカのオブジェみたいなものを大事そうにするのだけが人生じゃなかったんだなと。 ドゥルーズフィッツジェラルドについての話をぼんやり。でも美しくていい映画。

成金の挙動として全然科学らしくない、人間の意識の謎を解くとかオカルト様の話を、自己欺瞞でコテコテしてる癖に本気で信じ込んで他人を巻き込んでいくプロセスがあったのかもなと。金銭の出どころがカルトと偏向した民族主義団体で粉飾してるのが広告代理店なのだがノーベル賞とも意識ともあんまり関係ないと。痛ましいと同時にやっぱりそういう見え透いた話が耐えられないように。
何でか平均的に捉えられなかった文学者の個々の心象のほうがよっぽどそれっぽい。