影の現象学

 河合隼雄さんが亡くなられる。
 私は講演で、直接お話を聴いたこともなく
 ユングフロイトをまとめて読んでいた頃の、ただの
 読者なのだけれども、ある種の穏当さに飢えて
 いるとき、河合さんの本を読むとじぶんでも驚くぐらい
 素直に、ユングを身近に感じることが出来た。
 (ゲルマンの神話的形象について書かれたものとか、ユング
 がフロイトとの確執で疑似分裂病的になった話を読んでいた
 ときに、ユングをそんなにいいものとは思えなくて、そういう
 神話的な形を何から引き受けさせられるか、位置関係が大きいな
 と感じていた。ユングの言うような原型が本当にあるのか、よく
分らない )。
 「影の現象学」という本を、すごい本だと感じていた。
 蒼古性に遡らなくても、影と呼べるものは色々なところにあるような
 気がする。