Lime pass (パタンふたつ)

カテゴライズしにくい現象が、人間的な感情とか熱意、重みを伴わずにただ在ることの救い。
寒い通りを歩くときに、一画ライムの匂いと雰囲気に染め上げられて居る箇所があって、心臓の近くで甘い露の滴りと、同時に血の翳りを感じる。果物と同じ形の血の翳りが、手持ちの紙の鞄の中に拡がって、種子がまた明るいライムの形の気象を起こす(それは雲のなかに散らばったり粘りのある海浜公園の黒い岩をすり減らしたりする)。

この時紙の鞄は、薄いハトロン紙を幾枚も重ねてつくられていて、紙の縁はそれぞれ少しづつ感触の違う銀色の鉱物で染められている。おさえは半分に噛み割った柔らかい真珠で、片割れは夜眠る間、枕の中にある


カテゴライズしにくい現象が、人間的な熱意とか重みを含まずにただあることの救済。

寒い通りを歩くときにライムの形と匂いの一画があって、そのなかを通り過ぎると心臓近くにライムの果汁で血の翳りが出来る。血の翳りは穏やかに全身を巡る。手持ちの紙の鞄に、私は果実としての自身を容れることになる。
このとき紙の鞄は、厚みの異なる乳白色のハトロン紙で出来ていて、縁は銀の鉱物で染められている。おさえは噛み割った柔らかい真珠で、片割れは夜の間中隠された椅子の上にある。