ライシテ/氷山の一角

必要なカタログを集めるために外出(餅は餅屋、ではないけれど、改めて、ある種の技術開発をずーっと地道にしてきた企業が、一番いいものを出してる、ということが、建材の世界ではよくあるんだなぁと思う)。
 途中、子供のころの自分にとって、この季節には大きい出来事だったバザーの会場に行き当たる。横目でちらちら見つつ通り過ぎる。半分は完全にいかがわしい(今となってはいかがわしくもないのだけれど)、テキヤさんが集まる縁日の店構え。半分はタイトに、個人商店が一年に一度(今となっては、在庫処理も兼ねていると分かるのだが、それは投げやりな事でもいい加減な事でもないのだ)、いろんなものを売る、露天にしてはくっきりした感じの店構え。そこで以前、背丈ほどもある中国産の紫水晶を見かけたとき、子供心にこの中で寝たり家に置きたい、と思った。もう全然インテリアの仕事なんて向いていなかったらどうしよう。
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 ライシテの項を読みながら、政体についてのアレゴリカルな思考と「わたしの思考」全般が明晰に線引きされているようなあり方のほうが、よっぽど異状なのかもしれない、と考える。けれどそういう仕組みが擁立された流れがある、ということも、またひとつの無視できない動きなのだ、と思う。
 暑い中スーツを着て歩いていたせいか、自分がぼんやりした氷の塊みたいなもので、その氷山みたいなもののごく片端で考えていて、しかも他人から見付けられることを一生懸命避けている、なんていうことを考える。空がとても薄いブルーで柔らかく、光彩の元になっている部分はそんな色の中に溶け込んでいる。