エゴン・シーレ

 日本橋高島屋に、ウィーン世紀末絵画の展覧会を見に行く。霞ヶ関周辺はタクシーが
いっぱいで、走りながらちょっとおたおたしていたのだが、あまり調子のよくないカー
ナビに頼らず目的地まで出られたので満足する。それにしても上野とか渋谷は、車で
走るには人が多くてクラクラする。

                  ♪
 百貨店の中で展示されていたからか、シーレをまとめてみても辛かったり体調に響くことはなく、
意外といいかもしれない、と思えたのだった。(そんな事で比較するのは馬鹿馬鹿しいのだけれど、
今まで一瞬の印象で、クリムトみたいにきれいな装飾がない! 好きじゃない! と感じていた。
けれど縦に構図を取っているひまわりの絵とか、塗り分けられた人体や人の表情は、よく見ると
とてもきれいだった)。
 クリムトのパラス・アテナは何度か見ていて、というのも、クリムトやらゼツェッションの展覧会
が開かれるとどうしても二度三度通っていて、複製を買って部屋に飾らない分じーっと見て憶えておこう、
としていたのだった。クリムトの垢抜けていてマージナルな感じ、文様の使い方はやっぱり素晴らしい。
クリムトの夭折した弟の描いた絵も素敵だった。分離派の画家が精神病院に付属した教会の金色のドーム
を描いた絵を見ながら、人の精神性に対する取り扱い方、接し方が全く違うなと思う。ムージルとかの
小説もそうなのだが、オーストリアの色々な表現に触れると決まって打ちのめされる点。