精神分析

 個人的なビートルズについての備忘録として。。
 耳にしただけで条件反射的に、「これがうちで気に入られていた
 音楽だ」と感じるのは、プロコル・ハルムの「青い影」なのだが、
 廉価版のものならCDを買っていいよ、と言われはじめた頃、私は
 ビートルズというのはみんな必ず聴くのだと思っていた。(8か9くらい
 の頃のことなのでどうしょもないのだが、なんらかのかたちで買ったり
 聴いたりすることがあるのだろうと。ギリシャ神話とか北欧神話みたいな
 ものを読んでいたのと同じような感じ。私は当時から「Nowhere man」
 が一番好き。変な歌詞だ。以前ビートルズ難解すぎ、と書いた事があるのだが、本当何考えてるんだろうな、と思う。それから、コンセプトアルバムというものの過剰さと難解さを思うのだった。有線放送でビートルズの曲をまとめ聴きしているとあま
り感じないけど、アルバム一枚で長編小説くらい意味があるものなんて、必要ない人は絶対必要ないだろうなと思う)。
  こつこつビートルズについての知識を貯めこみだして、古本屋で片岡義男の詩集を購入し、講談社から文庫で
 出てるビートルズ本みたいなものを買い、映画を見、星加ルミ子のインタビューみたい
 なものも買えないときは図書館で引っ張り出して読み・・・という事をしてる
 うちに、講談社現代新書の、きたやまおさむビートルズ」も、多分奥付か
 何かで見て本の名前を知った「人形遊び」も読んだのだが、もうそういう事
 が外界と対応していないわけである(誰もそういうことを止めないし、
 子供なので時間が無限にあるし)。

 それで、長じて恐ろしく幸福になり、同時に考えていることの全部に生きてくための
 根拠がない気がして、駄目になる、駄目になる、とか思いつつ行ったのが南青山
 のその場所だったのだ。(考えてみれば、そんなことは誰でもしているわけでも
 何でもない)。その頃の私にとっては、夢から醒める、というモチーフがとても
 大事だった。どうにかしないと夢に飲み込まれる。
  初回のセッションで、お名前を憶えていないが、眼鏡をかけた年配の精神科医の方
 から色々な事を聴かれ、色々な事を答えた、と思う。でも結局のところ、夢から
 醒めるように明らかになることは、毎日しっかり生活しないと無いような気がした。
 (このあたりで私の10代は終わり、20代は結局他人の夢に巻き込まれてたような
 ものなんである。30代はバランスが取れるといいなぁ、なんて思ったりしつつ)。

                 ♪
 上記のようなことを書きつつも、幻聴や幻覚に行動が規定されてしまうようなやばい事態に
 見舞われたことは無い。世の中にはそれがあるという人が居り、色々な意味で彼女たちは
 健気で、自己中心的な存在ではなかった。 ♪
あまり関係ないけれど、MKウルトラのような精神操作が行われた後、サイケなときのジョン レノンがLSDを目薬みたいに点眼してた、という話を読んだ事がある。CIAのオペレーションで犠牲になったのは普通の人たちなのだけれど、技術へのスタンスを変えれば洗脳なり精神操作という事だけで完璧に機能不全になる訳ではないのだ。
それでも何か変なことは止しなさいよ、と思う。

 以下は凄く暗い話。

 古本屋で仕事をしている時に、同学年の男の子が完全に統合失調に成り果てた状態で通ってきていたことがある。彼は学生時代全く
 問題の無かった人だったのだが、その頃はぶつぶつぶつぶつ独り言を言いながら棚の間をふらついて、レジに来てもどうでもいいことを聞き、
 目も合わないような感じだった(私はまともな時の彼と数度会話をしたことがある筈なのだが、その頃の彼は、自分が話しかけている対
 象が誰か、と言うこと自体、全く無頓着になっていたと思う)。それを見て、恐らく統合失調と言われてる人の多くは、こうして現代思想とも表現
 や芸術なんかとも関係なく正常じゃなくなるのだろうな、と思ったら、やっぱり精神的なものを取り扱う上で、ある程度の繊細さとストイシズムは
 大切なように思ったのだ。
 

 ※北山修先生は、例えば「寺山修司」というのと同じように、ある時代のポップアイコンとして名前を聞かされてきたので、敬称を略しました。