仕様書ベースの仕事

昨日は文化の日、という感じの気候だった。
思うところあって、打ち合わせ内容とか色々な管理を、完璧に仕様書ベースでしていこう、と思う。初めてこの仕事に就いた時にエクセルで作成したものを使っていたのだが、標準的な体裁のものがあったらそれを使ってもいいかも、と考える。
新築でもそれ以外でも統一した仕様と態度を中心にしていかないと、蓄積されるものが分からずお客様にいい提案がしにくくなってしまうため。同時に、たまたま食事していた場所で以前施工した腰壁シートが、職人さんが教えてくれた通り回りぶちにつける形で施工されていたのだが、そういうのを確認すると、その場の色々な枝葉と関係なくすべき事だけ持ち越し出来るのでいいなと思う。

パクりの元ネタを割る趣味がないのと同じくらい、整形の芸能人に言及する趣味もないのだけど、なんというか整形する事より維持出来ない事が問題なのだろうなぁと思う(書きかけていていゃー!となりそうな程なのだけれど、岡崎京子の漫画みたいで怖い)。合併して他の病理も持ち込まれるから気持ちわるがられる気がする。整形依存性とか自己否認とか、盗癖とか。ちゃんとした芸能人ならシームレスで綺麗さを保つ事が出来るのだろうけど、そうじゃない人がたちわるいんだと思う。
普通に生活してる人で、見ず知らずの他人の整形維持費を肩代わりしてやるようなお人好しは居ないし、万事につけ人は他人の症候を生きる事が出来ないのだ。そのあたりの認識がぐずぐずになってるクリエイターとか、訳の分からない表現者をまともに監視して罰則を課せるようにしてほしい。

 「鏡のなかの世界」


 昔のみすず書房の本は、なかなか新古書店には出回らないと思う。買取の段階で
 はじかれてしまうからだ。この朱色のオビもよくて購入し、久しぶりに
 日記というかエッセーを、涙が出そうなほど笑いながら読む。
(ひらがなの使われかたがとても素敵で、気象についての言及が沢山)。

あやまるので、やっぱり教えてください、と言ってしまいそうなのだが、私は物理学とか
の数式が出てくる勉強がとても苦手で、理解出来ないことだらけだ。この本を一冊
読んだところで、「超多時間理論」とか、「くりこみ理論」については、その言葉以外の
何も理解出来ない。ただ、どこかでウィーン学派の問題提起や、ムージルの文体と同じ
現象を共有していたのだろうという気がする(以前、ムージルの文体がマッハの科学理論に
影響を受けたものであるという事を書いた)。
 過度に単純化した話にはなるが、脳過程を量子力学とか位相空間的に開く、ということが、
1900年代初頭とか1950年代の冷戦構造下よりは行いやすくなっていて、意識についての
学問が発展するとなると、その技術と現象一般の関係から生まれてくるような気がするの
だけれども、私には(この本でも触れられている)科学知の直感的な素地がないため、
それがどういうかたちで起きるのかがよく解らない(その代わりに詩を置いたりすることは
あるにせよ)。

 今、ユングではこれと「変容の象徴」だけが大事だと思って取っておいた「自然現象と
心の構造」が目の前にあるのだが、この本でパウリが書いていることはかろうじて内容を
辿れる気がする。でも、量子力学の言葉だけでは全く手が付かない。

せっかくなので電車に乗りながら「自然現象と心の構造」を再読。なんというか行間が読みにくい本だと感じる(鏡のなかの世界の、言葉が拡散したり収縮したりしている感じを目にしてからすぐだからかも知れないが)。唯名論的な名と現象の呼応とか、人が誰かの臨終の瞬間を予知する確率? とか、ちょっとオカルトじみた事が一杯書いてあり、難しいのと、リアリティと個別の意識の生成というのは、今どれくらい意味のある問いの立てかたなのだろうな、と思う(この本については、時間がある時に他の朝永振一郎の本と合わせて再読するつもり。自分が物理実験をしているところが想像つかない代わり、単に並行して読む事によって、イメージなり言葉を引き寄せようとするのだ)。
レヴィ ストロースが亡くなってしまい、吸い込まれるように熱帯のほうに身を寄せること、当の熱帯のとりとめなさを一瞬思い浮かべる。


出先で新生姜の赤ワイン煮を頂き、これは新生姜の時期に作り方を教わらなければいけない、と思う。
もう結婚詐欺に遭ったか結婚詐欺師になったつもりで部屋の料理本の棚を整理し(犬とセレブと食材って)、一段だけでなく二段びっしり、前後に本が入っていたのをかき出したり並べ変えたりしてるうち、煮卵だけでなくラーメンのスープのレシピが出てきたので(これもどういう親切心かよく分からないのだけど)転記する。教えてくれたのは勤めさきのコックさんで賄いで作ってくれていた時はとても美味しかったので、インテリア業界から追放されたらラーメン屋でもしようかしらと思うのだった。

水0.9 リットルに対して醤油と薄口醤油を0.23 リットルずつ、塩300 グラム、酒90ミリリットル、ネギ油90ミリリットル、味の素50グラム、ハイミー66グラム、胡椒少し、ルーカイタン2号缶の3分の1を煮立てる。ネギ約一本、生姜とニンニクをひとかけらずつ、干ししいたけ一枚を浮かせて30分煮込み、常温で冷やす。

2000年頃の自分ってベンヤミンと詩の実作の事をメインで考えていた気がするのだけれど、家のものにコンスタントに食事を作ってノートに書き残していたという驚愕の事実が判明する。そのノートの字がほとんど自動書記的に汚い。アンフォルメルな感じの染みがいっぱいついている。