長い渡り廊下

時々考えごとをしながら、長い廊下の上を歩いていくのだが、それが家の中にあるものではなく少しだけ地面から浮き上がった場所に掛け渡されたもので、影の落ちている場所の砂色がそれらしく色の濃いものになっており、一足歩くごとにその色が反射する、という感じを、渋滞の信号待ちの時にふっと感じる。それが何かははっきり解らないのだが、とにかく継続して自分のものらしい、と感じる時の、現実の有り様(別段幻想的ではないにしろ、普通に過ごしている部屋の中以外では、現実感は並行的なものであって、ただ具体物というのは一度に色々な像を結ぶようには出来ていない、という感覚)。

坂を下るときに少し、歩道を前輪で踏みつけるが、なんとはいっても私の感覚はそれなりに回復しているな、と思う(外が暖かいせいもあるかも知れないが。)