トレパネーション

 電車の中で隣に立った人が、多分「ホムンクルス」という漫画を読んでおり、そこに書かれている「何か妙な感覚」については、まだまともに読めるほど元気じゃないなと思う。関心はあるのだけれど。以前何かで目にしてちょっと読んだときに、トレパネーションという頭部穿孔の技術のことが書かれていて、グロテスクなのだが意識の変容とか精神の改造とかそういうものの枝葉の部分でこういうヘンなものに興味を持つ人も居なくもないだろうと思うのだった。
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 実際に「脳の血流をよくすることによって意識が改善され、多幸感が増して本来の自分を取り戻す」のか解らないのだが、内部のトラウマティックな感覚が現実に視えかたとして現れる、というのは、妙に具体的な話のような気がするのだった(以前「死と彼女とぼく」という漫画について書いたことがあり、大体ここ10年くらい勧められて読んだ「20世紀少年」と岡崎京子の「へルター・スケルター」以外新刊の漫画を読んでいないのだが、この漫画も基本的には現実感と二重構成になっている別の感覚について具体的に書いたものだった)。
 私には霊感とかそういう能力は全くなく、以前読んだ「霊感少女論」という民俗学の本に書かれていた「霊感=空想虚言とヒステリー」というのはそこそこ本当じゃないかと思うのだけれど、そういう部分を煽らないと成り立たない企業体だの新興宗教にニアミスして迷惑を一方的に掛けられると、嫌でもそれを分析して外在的に取り扱う必要がでてくる。で、自分の心象と不必要に関わろうとし、なおかつ外在する迷惑な感じってある意味「霊」と変わらないような気がするのだ。実際は穢くてあんまり卑小な(大体繰り返しだけど、平気で異物を口にする痛い新興宗教にコミットしてる)単なる人間なのだけれど。
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 自宅で使うカタログの整理をしながら、ほんとこういう妙な霊感とか関係なく出来ることのほうが多いから、困るのよね、と思う。