視座の成立/スコピック・レジーム

「視覚論」は電車の中で読むにちょっとエキセントリックな本かも知れないと思いつつ、何となく個人が視る事が言語の表出なしに何処まで伝達可能か(器質的にも、比喩的にも、視たものはすぐさま伝達されたり伝送される可能性を持つ)すごく分かりやすく書かれている気がして満たされた気分になる。
デュシャンの網膜的でない絵画、というのとも関係があるだろうし、3D映画の生理学的な影響みたいなものについて考えても人の視界をまるごと転送するテクネーというのはありのはずなのだ。光学機器メーカーとかはそのサンプリングを生身の人間からしたいはずよねと思う。
でも単純素朴に、人は一度自分の視野とか視覚がプライベートな物として成立したら、それが不当に拡散したり他の技術でダイジェストされたりする事を想定しないのだ。個別の視座として確立している物が他と勝手に関連付けられたりそもそも視座という概念自体が脱落してしまうような高度な伝送性が在るというのは緊張を伴うし、ある意味超常現象のような考えかたよねという気がする。

上のようなお話の実際の所が何なのか、具体的にどんなテクネーで何をどれだけ伝達出来るのかはともかくとして、カメラの光学的機構に人間の視覚と意識が生きている、という話があってもいい。
たんに雑駁に、カメラに人間の神経機構が活かされており、道端の草一本撮るにでも、描写してるとか喋る合間の息みたいなものが付きまとう(その時にレンズは軽く乳白色に濁っている)、という話。

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 「思考盗聴」という胡乱な言葉で呼ばれている出来事のエヴィデンツ
(科学的根拠)はこれ
  http://www.atr.jp/html/topics/press_081211_j.html

 当然「Neuron」という雑誌に掲載された以上、科学の立場からの「人間の生体からの視聴覚情報の取り出しは不可能」という言い訳はきかないし、「視覚情報が取り出されてる」というのも妄想でも何でもないのだと思う(ここで、「視覚論」
にも書かれているスコピック・レジームの暴力性みたいなものを挟んで、監視する側/監視される側のバランスが崩れ、かたやスコピック・レジームが孕む問題を内面化させられてしまうというのが、今まだ法で規制出来ないストーカーの犯罪性
なのだと思う)。
 さいしょにエヴィデンツの在りようを示した上で話を進めないと、こういう実験
の被験を一方的に蒙っている人にばっかり病理が押し付けられてしまうし、
そのことを悪用して自殺に追い込んだりしてるんだとすればとんでもないよなと
言う気がする。
 文学だのアートと科学の絡みにこだわる立場だと食い下がるかも知れないけど、
例えば普通の家庭で主婦をしていたり、普通の学生や子供だったりした場合、
いきなり自分の視覚情報が他人の手中に移ったらその事を説明する語彙がないし。
 そういう事を科学なり人倫の元に行ってる人が居るとすれば、一度全部疑われる
べきなのだ。

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 この記事には「 本研究では、実際に見ている画像の再構成を行ったが、同じ手法を用いて、心的イメージや夢のような物理的には 存在しない主観的体験を、画像として客観的に取り出せる可能性がある。」
 とあり、これは純粋に面白いお話のような気がする(視たいものを先回り
して自分の思考の素材から取り出す、という抵抗の仕方もあるのだ)。

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 9月に関東へ出てくる友人と電話で話をしながら、連続性を保てている部分と
分断を強いられている部分、それぞれが説明の成り立つバランスを上手く
確認しなければいけないなと思う。
 仕事がらみで幾つか確認(社屋移転後に分からないことがあったのだった)。
 
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 スカイツリーにはあまり関心がなかったけれど、このライティングはきれいで
いいなと思う。http://dailynews.yahoo.co.jp/photograph/pickup/?1308136500

何の花か分からないのだが、昔「不思議の国のアリス」の挿絵で、かわいい生き物
の顔が花の真ん中にあった感じを思い出す(写真自体はかなり前に撮ったもの)。

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機能的磁気共鳴画像(fMRI)は、そんなに連続して受けるべきものじゃないので、
本人の了承も取らずずっとそういうテクノロジを使うような団体があった場合、
怒られたほうが良いのだと思う。この説明の中で図3のデコーディングが結構
怖い。
 正直言って、工学に対する興味がなかったり、芸術論と視覚制度に対する
関心がなかったらひたすら弱らされるだけだと思う。(卒論を見てくれた先生
デカルトの専門家だったので、たまたま慣れてるだけなのだ)。
 でも苦しんでる人が居るのだったら、ちょっとでも書き残してこういうオペレー
ションの痛みを緩和する手伝いをしたいと思う。
                 
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 こうしてエヴィデンツを基にみても、茂木さんの科学理論的脆弱性って
凄まじいなと思う。そして、こんな物騒な出来事に巻き込まれてなければ、
この人に上からものを言われなくても英語位必要に応じて勉強するよね
と思う。(逆に言えば、こんな奴から洗脳されればそれだけ脳機能が衰退
してしまう)。
 脳科学者の中にはまともな人も居るのに、クオリア日記は犯罪者と一緒に
撮った写真のまま停滞ですか、と思うと、唖然とする。

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haarpとか電磁波と脳の非侵略的計測って関係あるのだろうか。